インタビュー1 : 自分より強いものとなら喧嘩する
生まれてから今までその信念で生きてきたし、それに背いたことは一度もない。それは断言できる。
八重柏昭…
シーピーアイ営業部長
昭和18年、岩手県生まれ
大学卒業後、印刷インキメーカーに就職。
その後、印刷会社、情報関連機器メーカーを経て、現在はシーピーアイの営業部長として会社の業務を取り仕切る。
生まれてから今までその信念で生きてきたし、それに背いたことは一度もない。それは断言できる。
・親御さんから教わったことで今でも覚えていることはありますか?
親に教わって今でも守っているのは、人は絶対いじめるな、優しい心を持てってことかな。
「喧嘩してもいいけど弱いものとは喧嘩するな。勝てそうもないものと喧嘩するならほめてやる」ってよく言われた。だから喧嘩は沢山してきたけど、自分より弱いものを相手にしたことは一度もない。生まれてから今までその信念で生きてきたし、それに背いたことは一度もない。それは断言できる。そうしてきたからこそ、今でも沢山の人に支えてもらえているんだと思う。
僕は社会人になったのが昭和42年で、それから40年位サラリーマンをやってるけど、社会人になったころからの友達からよく「お前は40年たってもまるであの時と同じだね。全然変わってないね」って言われる。今までいろんな経験を積んでいろんな人を見てきているけど、出世して偉くなると態度がガラッと変わる人がいるんだよね。でも“お前は変わってない”って言われるのは、そういう信念を守ってきたらからじゃないかな。
天知る、地知る、我知る、汝知る。…おてんとう様は見ているよ。
・座右の銘は?
うーん、まぁ、簡単なことなんだけど、「思いやりの心、助け合いの心、励ましあいの心を持ちましょう」。ってことかな。
仕事に限らず何事も、一人では絶対にやっていけないから、周りに大勢関係する人がいるってことを意識しなくちゃいけない。だからその仲間達への心配りを忘れちゃいけないってことだね。それはどんな時代になってもね。今のようにインターネット全盛時代だとかIT全盛時代といってもさ、結局やってるのは人間なんだから。
その他にも…
◇出るくいは打たれるけど、出すぎたくいは打たれない。
中途半端に出るから打たれちゃうんだよ。出るんならガ――ンと出ちゃえばいいんだよ。
あいつは文句も言うけど、言うだけのことはやるじゃないかという目覚しい成果を挙げればいいんだよ。迫力を持ってやれば必ず協力者は現れる。私も“八重柏軍団”なんて社内で呼ばれて、無茶をしていたこともあったなぁ。そのときは徹底的に悪と闘ったね。
◇おてんとう様は見ている。
表裏があってはいけない。人が見ていようが見ていまいが誠心誠意やる。そうするとね、最後には結果となって現れるんだよ。それは逆もまた然り。
◇教えてくれる人は若くても先生。
年配の人の中にはね、俺はなんでも知っているってふうに周りの若い人に接する人がいるけどね、そうであってはいけない。私もいろんなところに行っていろんな人に会うけど、まだまだ世の中はすごい人がいるんだなって、この歳になっても思うんだよね。こういう気持ちがあると人間はまだ成長の余地があるんだよ。そういう意味では人間死ぬまで勉強していくんだと思うよ。
だから自分は、この人の力になりたいって思った。
・シーピーアイに入ったきっかけは何ですか?
シーピーアイでやってみようと思ったのは野尻さんとの出会いなんだよね。
野尻さんはオーナー社長なのに、ものすごく謙虚なんだよ。正直に言われたのは、「シーピーアイはSIというカテゴリーの中で22年やってきたほんとに地味な会社です。でも多くの社員がいるから社員に会社としての安定感を味あわせたいし安定の先には成長も体験させたい、その先には楽しみを与えたい。だから商品開発というジャンルに挑戦した。そしてどうにか商品の形ができてきたけど、会社の歴史から見ると営業活動はほとんどしてきていない。だからその営業の力を貸して欲しい。」ってこと。実は、もともと東京仕事財団からのアドバイザーとして来ていたから、期間が終わればもうシーピーアイを立ち去るはずだった。それでサヨナラを言おうと思っていたときにそんなことを何回も言われたんだよ。
だから自分は、この人の力になりたいって思った。
やっぱり人次第だよ。
・ビジネスでの成功の秘訣は?
くどくなるけど、やっぱり人次第だよ。思いやる、助けあうってこと。基本となるのはいつの時代も人間なんだよ。
もう一つは、突飛なことをやるより当たり前のことを一生懸命やるってこと。トヨタが何で日本最大の利益集団かというと、あそこは年中当たり前のことをやってるからなんだよ。これは一日や二日でできるもんじゃない。日ごろからコツコツ頑張った積み重ねなんだよ。そこらへんはすごく大事じゃないかな。
それを奇跡と、信じられるかい?
・仲間を思いやって働くことが大事ですね。
仕事場で一緒に働く仲間なんて、生まれた場所も違うし育った環境も違うし、受けた教育も違うし、体力も気力も全部違うんだよ。全部違うものが何かの縁でひとつの場所に集まってやるのが会社なんだよ。
縁もゆかりもない人が集まるんですよ。でもその人たちが、スポーツでもそうだけど、ひとつの方向を向かないといけないんだ。みんながばらばらの方向を向いていたのでは、何をやっても決して上手くは行かないの。組織って言うのは、若い人から年配者、男性も女性もみんなある範囲でまとまっていかなくちゃいけない。そのためには我慢したり、譲り合いをして、その中からチームプレーができてくるんだよ。
働く仲間とは、縁がなければそこで会っていないわけでしょう。日本の就労人口は6500万人いるんだよ。その中で一緒に働くこと、これは宝くじ以上の確率で出会っているってことだから、その縁を大事にして互いに協力しましょうってことだよね。まさに出会いは奇跡だね。
それってやっぱり働き甲斐にもつながるでしょ。
・シーピーアイの今後の展開を聞かせてください。
TotalSecurityFortは世の中の役に立つ製品だから、ひたすら広めていきたい。それが大きな社会貢献になる。今マイクロソフトのオフィスといったらほとんどの人が使っているでしょ。それと同じでセキュリティ商品のスタンダードはTSFといわれるようになりたい。それを広めるためにはCPI単独ではなかなか難しいから、多くのビジネスパートナーの方々と協力して、少なくとも日本の市場ではこの商品がナンバーワンのソフトウェアだと言われるようになりたい。そうすれば適正利潤も入ってくるし、シーピーアイの知名度も上がってくる。それってやっぱり働き甲斐にもつながるでしょ。
編集後記
八重柏部長の周りには常に多くの応援者がいたという。人はそれを八重柏軍団と呼んだ。しかしそれは決して部長自らが集めたものではなかった。周りから自然と人が集まってきたのだ。これは部長が常に人を大切にし、人間関係を重んじてきたことのある意味当然の結果だといえる。これはまた、「思いやりの心、助け合いの心、励ましあいの心」を大切にしてきた部長の人柄によるものと言えるだろう。(宮崎)